表参道 オーダースーツ コンシェルジュ ボットーネの松はじめです。
ブラウンのスーツが心地よい、そんな季節がやってまいりましたね。
秋の少しくすんだトーンをバランス良く着こなすと、それだけでいつもの出勤で心躍ります。
写真はブラウン、チェックのスリーピーススーツ。
(スリーピーススーツ・シャツ・タイ 全てBOTTONE製)
さて、本日は背広という言葉の由来についてお話しします。
背広の語源についてはいくつかの説があります。
有名な説は、ご存じのとおり、英国テーラー街のサヴィルロウが訛った サヴィルロウ→背広 説。
この説は確かに会食の小ネタにはなろうかと思います。
では私たちが有力と考える説はというと、初めてのデートで話すにはあまりにも地味な話なので、あくまでもサヴィルロウ背広説の後にお話しされることをオススメいたします。(話すのであれば、ですが)
さて、その説とは…
そうです、そのままですね。
でもどういうことでしょう?父の背中は大きい、子には背中を見せろ、そういうことでしょうか?いえ、違うのです。どちらかといえば職人的要素なのです。
百聞一見、文章で説明するよりもこの写真で全てが解決するでしょう。
モーニングコートなどにみられる背。
背がいくつものパーツで分かれ、組み合わさって立体的で構築的なシルエットになっています。
モーニングコートや燕尾服のような構築的シルエットの洋服というのは、より人間の身体に沿い、細かい絞り込みができ、それでいて動きにも対応できるので、社交ダンスや指揮者の服でもあるわけです。
通常のスーツの背。
背は2枚の大きなパーツを組み合わせて完成しています。
右が通常スーツ。
並べても一目瞭然。
スーツの方は2枚の布で出来ているのに対して、モーニングコートはたくさんの布を組み合わせています。
もともとは左、モーニングこそ洋服だった、そこにスーツが出てきた、スーツの方が背が広いよね、じゃあ背広だ、ということになったのです。
なぜ背が広いかといえば、フィット感です。
スーツはフィットしない服だったからです。
現代ではちょっと考えにくいですよね。
でもそもそもはモーニングコート、フロックコート、テールコートといったように、きちんとした洋服はコートでした。
コートはコート、トラウザーズ(パンツ)はトラウザーズ、ヴェストはヴェスト(ウエストコートというくらい)、全部が独立した存在でした。
だからコートの生地と、トラウザーズの生地と、ヴェストの生地は全部違う生地で誂えていました。
例えばこういうこと。
このズボンはコールズボン。
全部違う生地で誂える?なんて贅沢な、、、と庶民は思うわけです。
じゃあ全部同じ生地でいいじゃん!と庶民向けにスリーピーススーツとして同じ生地になったのです。
(スーツという言葉は【s】複数形ですから、元はスート)
しかも庶民としては、「そんな社交パーティーみたいなブルジョワーなところには行きません、普段着でいい〜」という気持ち。
じゃあ普段くつろぐカジュアル着として、あんまり体にぴったりしたのではなくて、ゆったりした服にしようとなったのです。つまるところ、当初のスーツは現代のユニクロのフリースといっても言い過ぎではないかもしれません。
そこでフィットしてはまずいので、背のパーツも大きく2枚を組み合わせたのです。
日本の職人の腕利きの一人は、「こりゃまた背が広い服やなぁ」おそらくこういったのでしょう。
スーツは当時の超略式だったわけですが、これはラウンジスーツと呼ばれました。
ラウンジ=寛ぐ まさにフリースやジャージです。
今、スリーピースが最注目されています。当店でも礼装はもとより、ビジネスシーンでもきちんとした印象を与えるためにベストを誂えたスリーピーススタイルをお勧めしています。
スリーピーススタイル
でも、昔はゆっくりするのにもちゃんとベストを着ていたのです。時代は変わりましたね。
ボットーネでは創業以来、ただスーツを仕立てるだけでなく、立場や時間、与えたい印象、好み、お持ちのアイテム、似合う色と柄、今と未来のスタイルをトータルで考えた、あなたに最適な戦略的スーツのお仕立てと着こなしをご提案いたしますので、まずはメールで日程をご予約ください。