オーダースーツ コンシェルジュ ボットーネの松はじめです。
もしタイムマシンが完成したならば、タキシードをはじめとする洋服がどのように着られていて、どうトレンドになったのか、それをこの目で確かめたい。そう願ってやまない毎日です。
「イタリア○○○の場合、
ホスト側がショールカラータキシード。列席する側はダブルブレスト・タキシードが基本。ダブルなので当然ピークドラペルとなる。色も当然基本黒。
ただし、アメリカの方々がいらっしゃると、みなさんバラバラ。色もグレーなどのファンシーカラーの方も。」
ある昼下がり、私のオフィスへ一通の招待状が届きました。
つい先日のことです。
お仕事でご縁があり、クライアントでもある経営者の方の結婚式、ご年齢も近い。おめでたい席へのお招きに、嬉しい気持ちと同時に、一つの悩みが湧き上がってきたのでした。
招待時刻を見たら、15時とありました。ならば指定はないが、迷わずにブラックタイ、と、ここまでは良かったのです…
タキシードもフロックコートは持っていますが、今回はあえて新しく誂えよう、とそう思ったのです。
<礼装のルール>
1 正礼装:午前=モーニングコート 午後=テールコート
2 準礼装:午前=ディレクターズスーツ 午後=タキシード
3 略礼装:ダークスーツ
今回は優美なタキシードをと、ショールカラータキシードにしよう。拝絹と側章をあしらい、生地はボットーネらしく タリアデルフィーノSUPER'160sといこうか。ミッドナイトブルー無地に決定。
とこのあたりまで考え続けたテーマでしたが、「ショールカラーはホスト側のタキシードだから、今回着用するならピークドラペルが適しているのではないか?」という意見が仲間から飛んできたのでした。
ショールの方がもともとのタキシードらしさがある。だから、シングル・ショールカラータキシードにカマーバンド、ボウタイというところ。しかしそれもわかる気がする。そこで今一度この詳細を改めて聞き込み調査を開始したのでした。
ファッションデザイナー
ショール、ピークに関してのドレスコードというのはわからない。デザインの問題ではないだろうか?
イタリア大使館に精通する人間から
「イタリア大使館の場合、ホスト側がショールカラータキシード。列席する側はダブルブレスト・タキシードが基本。ダブルなので当然ピークドラペルとなる。色も当然基本黒。
ただし、アメリカの方々がいらっしゃると、みなさんバラバラ。色もグレーなどのファンシーカラーの方も。」
某ラグジュアリーホテル(H)
基本的にはブラック・ダブルブレストスーツorホワイト・ダブルブレストスーツ、通常シャツ、ボウタイといったスタイル。タキシードの着用はイベントなどの際だが、ショール、ピークの使い分けはしていない。
フォーマル情報サイト運営会社
「起源はピークドラペル。だが、どちらがどうということはない。
ただし、それぞれドレスコードがあるだろうから、それに合わせるのが良いと思う。」
フォーマル協会
歴史を紐解くと、英国、テールコートからピークドラペルのタキシード、アメリカ、室内着からのショールカラータキシード。
どちらもデザインの違いだけで同格。どちらがホスト、というようなことはない。
・おもてなしをするホテルやレストラン関係者にショールカラーが多いのは?
機能的にはピークの方が保管が難しい。ショールカラーの方が型崩れしにくい。そうした背景もあるかもしれない。なぜかショールの方が多い。また、どちらかといえばドアマンを含め、ユニフォームはショールカラーという認識なのではないか。一方で、ショールを着ているとホテルマンに間違われる、だからピークを着る、という時代も20年ほど前にあった。
ピークか、ショールか、本質のドレスコートからいけば、関係はない。
・ダブルブレストのタキシードについて、ダブルブレストは防寒の意味から軍服に採用されたデザイン、シングルとダブル、どちらのタキシードをどう選ぶべき?
フォーマルの原点は軍服。シングルがタキシードの起源。しかしながらダブルであるからどう、ということではない。こちらに関しても同格。
ダブルブレストの起源となってと言われる、ポーランド兵、ウーランの服装。
乗馬時に風が入らないように、とダブルが生まれ、軍服となる。
西洋諸国における富裕層のパーティーでは、圧倒的にピークが多いです。ダブルブレスト・タキシードは一部ですが、見かけます。
1900年代の肖像画では、少数ではありますがノッチドラペル、またセミピークのタキシードも。
さて、ルールはルールとして、ファッション。30代経営者の方のご結婚式、私らしく、場を引き立てるタキシードは、ピークかショールか。シングルかダブルか。。
私の見解としては、
イギリス・イタリア=ピークドラペル文化が原点
アメリカ=ショールカラー文化が原点
アメリカ:ショールカラーはベルベット素材ガウンなど室内着から派生していること、
タキシード・パークのロリラード氏が燕尾服に着替え忘れ、ガウンで会場に登場したことがタキシードの起源という説があることから、くつろぎ感のあるショールは、ホスト側ともいえる。
ピークドラペルは、もともとが燕尾服からの派生。
タキシードが徐々に礼装として市民権を得たが、もともとの礼装である燕尾服派生のピークドラペル・タキシードの方が列席側の正装ともいえる。
しかし、ショールカラーもピークドラペルも、自分らしさを出せ、場に相応しければ良い。
ただしその場その場のドレスコードや、立ち位置やコンセプトをはっきりさせることは大事。
(ショールでもピークでも)どちらでも良いが、明確なドメインを持つこと。
こうした意識が大切なのではないでしょうか。
私のタキシード。
仕立て上がりは4週間後です。
ボットーネでは創業以来、ただスーツを仕立てるだけでなく、立場や時間、与えたい印象、好み、お持ちのアイテム、似合う色と柄、今と未来のスタイルをトータルで考えた、あなたに最適な戦略的スーツのお仕立てと着こなしをご提案いたしますので、まずはメールで日程をご予約ください。