オーダースーツ サロン ボットーネの松はじめです。
週末はたくさんの優雅な打ち合わせ時間を共有させていただきました。
春の新作生地がもう少しで全て出揃いますが、今も続々と登場している新作は、どれも目移りしてしまいます。
じっくり話しながら悩んで選び、なかには何度も通ってくださった方もおり、デザインやディテールもついに決定。
ベストの追加希望にお応えできるかどうか(生地が到着しているので)は週明け、カッターの腕次第となったオプションもありましたが、良い洋服が生まれてくることは間違いありません。
さて、 男性のスーツのジャケットと女性のスーツのジャケットを比べますと、決定的な違いがひとつあります。
男性の洋服は、前ボタンが右についています。
女性の洋服は、前ボタンが左についています。
重ね合わせてもまったく逆ですよね。
一体なぜこのようなことになっているのでしょう?
ボタンが付いている洋服は宮廷で着用されます。
もちろん着るのは上流階級の人間です。
実はここで上流階級の習慣が関わってきます。
男性は自分で洋服を着替えます。
当時から右利きが多かったようですから、
ボタンが右にあった方が着替えやすいのです。
利き手と物の関係はそうで、
左手(基本利き手右という設定)でボタンホール側を固定し、右手でボタンを動かす、その方が動かしやすい、
皆様もそうですよね?
しかし女性はというと、
<写真:映画:マリーアントワネットより>
そうなんです、彼女たちの身分ですと自分で服を着ません。使用人に着せてもらうのです。
ですから、右利きの召使いからすると、向かって左にボタンがある(男性とは逆)の方が留めやすい、ということになるのです。
このように利便性から男性と女性の洋服の前ボタンが異なる、という説があります。
こんなところにもロマンがありますよね。
ただし、現代人女性からすれば右にしておいてもらった方が使いやすかったですよね。
さて、それでは洋服ではなく和服はどうか?男性と女性で違うか?
といえば、実は和服は男女でどちらを前にするかが違いません。
平安時代の初期に唐の影響を受けてからは、男女同じように右前にて着ます。
これは西洋とは違い、日本は男女ともに自分で服を着用していたためなのと、やはり右手が利き手で、右手で懐に入った物を出しやすいからなのだとか。
この以前は、弓を射る動きを考慮してか、左前だそうで、
現在では死人には着物を左前にして着せて、生き返らせてはいけないという意味から、死人に着物を着せる場合に、着物を左前にして着せるのが慣習として残っています。
ところで世の中は右利き優先です。
小物でいえばベルトなども基本的には右利きが優先され、巻きやすいようになっていることもありますが、
箸、ハサミ、包丁、カメラ、急須。さらには楽器、自動販売機も、様々な物で右利きを意識して開発されています。
ですから、このような洋服においての男性と女性の前ボタンの左右の違いも、こうしたことが理由となっています。
そんな私は、左利きでございます・・・
利き手でスッと上着のボタンを留める姿、羨ましい限り。
次回お会いした際に、打ち合い逆のスーツを着用していても、変に思わないでください・・・
(現段階では着たことはありません・笑)
この日のランチは、AW kitchen figlia 青山店。
名物の農園バーニャカウダ。野菜は契約農家から直送、パスタも手打ちです。
弊社の顧問に、日本を飛び回る女性経営者を紹介してもらったのでした。なんと野菜好きの私のためにセッティングしていただいたお店。先日のやさい屋めいに続き、野菜好きな方にお勧めです。表参道サロン帰りに、ぜひ行ってみてください。
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