オーダースーツ コンシェルジュ ボットーネの松はじめです。
本日はハリスツイードという生地についてです。
ハリスツイードといえば、スーツやコート、それにハンチングなどの帽子にも使われていますよね。それでこの名前を知っている方も少なくないのではないでしょうか?
この生地は名前の通り、ご覧のようなツイード、ホームスパン系素材の生地ブランドです。ツイードと聞くとガシッとした秋冬の織り物ですよね。その中でもスコットランドの北西のハリス島などで織られるものだけが、ハリスツイードと呼ばれるのです。もともとは…
昔から、ハリス島などアウターヘブリディーズ諸島を含むスコットランドの西部の住民は、手作業で布地を作っていました。産業革命が起こり、イギリス本土では織物は機械化の波に飲まれますが、島では、昔ながらの伝統的な生産プロセスを守り抜いてきました。
1846年、この島の領主、レディダンモア伯爵の未亡人、ダンモア婦人は、タータン柄をツイードで、島の織り手に作らせます。レディダンモアは多くの時間をかけ生産プロセスを改造しながら、ハリスツイード産業がはじまります。その後機械を用いた手法も導入されていきますが、基本的な製作プロセスは守っていました。
こうしてこの手法を競合他社から保護すべく、ハリスツイードのマークと品質を保障する協会が生まれていったというわけです。
ハリス島はスコットランドの北部ですから、とても寒冷な地で、夏と冬の気温差がわずかで、年間を通して気温は低い地です。秋には降雨量130ミリバールを超える上、強風が吹き荒れます。
ハリス島とは…
左上部の A がハリス島です。同じ島なんですが北部はルイス島と呼ばれているんですね。
このような北方の地の上着ですので、大変ウエイトがあり強く打ちこまれているので耐久度が高いのが特徴で、イギリスを中心にカントリージャケットとして需要が高まり人気を博していきます。
アイビーでもツイードジャケットは人気を博しましたが、現代でもハリスツイードはとてもハリ・コシがあります。
ご覧のようなジャケットでも、肌寒い日には衿を立てて着こなすのにも向いていますよね。
ずしっとしていますので、コートだと重みはあります。軽いカシミア系に慣れていますと、その違いが歴然。
決められた機械を使い、英国ハリスツイード協会での検査が通った織物だけが協会の公認のマークがつけられます。マークには、英国王室より許可された、神聖な宝珠(ほうじゅ)が示されています。
ハリスツイードのウールですが、岩石の多い山地の羊が多いので、特徴があります。それは、病気や栄養不良、老化した羊などに多くみられますケンプ(死毛)が混入している点です。
かなり独特ではないでしょうか。
ケンプは短く太く硬く、銀白色に光って見える毛です。染色をしても染まりません。よくカーペット用のような耐久度を必要とする物に使われます。
それがハリスツイードの重厚感につながっている要因といえます。
カラーバリエーションも豊富です。
千鳥格子は少ないですが、一般的には伝統的なヘリンボーン柄がバリエーションも豊富です。
アイテムとしては、ジャケット、コート、そしてスリーピースのノーフォークジャケットにも最適です。
このところは空調が発達した特に首都圏では、薄手の傾向があり、ツイードの需要は少なくなりました。既製品でも、冬でも300gを超えない目付の生地を使った洋服が多くなりましたよね。
シルエットも依然として上着はタイトシルエット傾向が続いていますから、アンコンのような軽めの仕立てが多くなった現代、ツイードはトレンドとはなり得ないでしょう。
だからこそ、ツイード、というのは洒落た選択だと思います。ジャケットやコートにハリスツイード生地を使ったお仕立て、秋の訪れが待ち遠しくなる一着になりそうですね。
ハリスツイードのオーダージャケット ¥66,150~
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