オーダースーツ コンシェルジュ ボットーネの松はじめです。
しとしとと降る雨によって、多少散ってしまいましたが、この季節、日本に生まれて良かったと強く実感する今日この頃。
ここのところはオーダーも多く、深夜に一人焼き鳥が夕食で、
都内ながら残る、だいたいその脇のジャリ道を通ります。
ローファーから聞こえる、ジャリっジャリっという軋むベッドみたいな懐かしい音に、田舎の、工場への引込み線の脇を、粋がってマルジェラのロンティーに、よくわからずスタンスミスのスニーカーを合わせて歩いてた頃を思い出し、
さて本日私が着用しているこちらのスーツ。柄はグレンチェック、、ではないのです。
プリンスオブウェールズです!
グレンチェックとの違い、わかりますでしょうか?
生地に付けられている柄の名称の多くは1.見た目のイメージからくる場合、
2.素材・原料、織り方、場所などの成り立ちからくるもの、3.歴史的うんちくによるものなどがあります。
グレン・チェック(Gren-Check)ですが、「スコットランドのネス湖に近いGren-Urquhart (グレン・アークハート)渓谷一帯で織られていた柄で、場所にちなんでつけられた名称」が最も一般的に知られております。 メンズ・ウエア素材の基礎知識 大西基之著より引用
ネス湖の美しい光景に目を奪われます。
ネッシー発祥の地ですよね。
私は結構こういうネッシーやツチノコ、小人やUFOなどの存在は信じる方で、
すぐにミステリアスな連想をしますが、
グレンチェックは、スコットランドのネス湖に近い、グレン・アーカート渓谷一体で織られていた柄。
地名にちなんで、グレンチェックとの名称がついているわけです。
チェック柄は、
例えばタータンチェックなど、日本の家紋のような役割をするものもあり、
戦闘用、守備用、正装用などに分かれ、
おまけに色で階級までわかれるものがあるというから驚きです。
そして、このグレンチェック柄スーツの中でも、
私が着用しているこの柄。
こちらは、プリンスオブウェールズという、何とも上品な名称。
もう一つが、Prince of wales(プリンス・オブ・ウエールズ)ですが、これはそもそもグレン・チェックの上にブルーの色糸でオーバーチェックを切ったもので、シンプルなグレン・チェックにカラー・オーバーチェックが乗ったものということができます。英国皇太子であるウエールズ公(のちのエドワード7世)が好んだ柄という歴史的うんちくからくる名称ということができます。メンズ・ウエア素材の基礎知識 大西基之著より引用
グレンチェックの上のブルーチェックの色合いが上品。
ということで、その名から推測できる通り、イギリスの皇太子、ウェールズ公が好んだ柄。
私の地元の富山には、チャックで有名なYKKがあり、その地域の名称は吉田と、YKK代表の名前になっていることに幼少期驚いたものですが、
柄が好きだった、というだけで自分の名が付く、というのは考えてみればすごいことのような気がします。
現代ならメゾンブランドがデザイナー名という形で名前を残しますがね。
ジレの背裏、背表、上着の裏地、
全て変えています。
裏ですから、、、たまにはこのくらいでも良いのです。
厳密にいえば、
グレンチェックとこのプリンスオブウェールズは別物といえるのですが、
現代では呼び分けされることはありません。
我々も素材を仕入れる際に、プリンスオブウェールズとは呼びません。
さらに、素材の神、大西基之氏によれば、
イタリアではこの柄をガレスと呼ぶのだそうです。
なぜイタリアではガレス(Galles)と呼ばれているかと言いますとGallesとはウエールズのことでありまして、正確にはPrincipe Di Galles(プリンチペ・ディ・ガレス)ということであります。メンズ・ウエア素材の基礎知識 大西基之著より引用
プリンスオブウェールズ、プリンチペ・ディ・ガレス、
そのような呼称になっただけで高級感が増すのは気のせいではありませんね。
英国、ホーランドシェリー社の平織り生地で誂えたスリーピーススーツ。
ジレには衿をつけたスタイル。
ネイビー、グレーのソリッドな柄やストライプが揃ったら、
今季はプリンスオブウェールズに挑戦してみてはいかがでしょう?
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