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オーダースーツ コンシェルジュ ボットーネの松はじめです。

海外、国内と出張が続いておりました。
そのなかで、今回初めて訪問させていただいたのは、日本の毛織メーカーでございます。


織っているその建物は、自然光を取り入れるために考えられた窓が印象的で、だいぶ離れたところからでもカシャンカシャンと明らかに織っている!とわかるリズミカルな音が響き漏れています。
それはまるで私たちを歓迎してくれているように感じました。

小雨が降るなか、いよいよ小さな木造社屋に入ります。
するとさきほどまでこのエリアに響いていたあの織機の音は5倍くらいに膨れ、会話もままならないほどです。


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早いということはね、必ずしも良くないんですよ、天然素材にとってみては、ね。
うちのはね、そうねぇ、、足踏みミシンみたいな織機かな。

なんていうのかなー、こんなのはね、機械じゃないんですよ。
プロペラも、機関車のD51も一緒さー、道具ですよ、道具。



織り元代表がそうおっしゃられる低速織機。
NHKをはじめメディア取材も少なくなく、映画にも登場した織り元は、ぎっしり敷き詰めた歴史の香りが漂います。

さて、本日は日本はおろか、世界的にも貴重な存在となってしまった、低速織機を使った生地織物が出来上がるまでの工程を追ってみたいと思います… 
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もこもこ、フワフワしたこちら、ミニュチュアの羊が置いてありました。
原毛が命。

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すっかり減ってしまった、のこぎり屋根。
建物の垂直の壁面を利用した窓は、自然光を取り込みます。


この付近にはこのような織り元が集中していたのだそうですが、現在はその姿はほとんど住宅街。



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いざ、のこぎり屋根の工場へ。
中にはこんなまろやかな優しい光が差し込んでいました。

のこぎり屋根の工場は、産業革命のとき、イギリスで誕生したと言われています。
広い面積を、均等に採光するときに力を発揮します。


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さて、生地というのは、羊毛を染色し、経糸(たていと)を準備するところから始まります。


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良い生地は、洋服が立つよね。
革新織機で織られた生地はねぇ、こう、フラットなんだよね。

(織り元代表)

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確かにイタリーの織物は色がいい。
ファッション性はある。
ただ、昔ながらの組織になっていないんですよ。

(織り元代表)

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等間隔にずらっと並んだ糸、まるでアート。



続いて経験と技術を要する工程で、織り物の良し悪しを決定付ける作業、整経です。

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経糸を、ビームというものに巻き取ってゆく工程です。
そしてここで素材によって張りを最適に調整していきます。


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こうしてビームに巻き取った糸を・・・

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まるでマーチのようにテンポ良く届く織機の音のなか、
一本一本、小さな小さな穴へ、通します、手作業で。

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この工程は、綜絖(そうこう)通し。
写真右手、銀色の綜絖という器具に糸を通すのです。




拡大してみてみますと・・・

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この繊細さ! 


こうして複雑な柄も表現できるのですね。

なんとも骨の折れる工程ですが、1つの生地の織りだけでも3〜4日かかるのだとか。


この後は筬(おさ)通しという、これまた根気が必要な作業です。
ここでは、2〜4本の糸を、一定の隙間に通します。



ここから、織るための準備が始まります。

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こちらに

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このように巻いていくわけです。




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こうして糸を管に巻き、いよいよセット!

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この糸が巻かれた尖った器具は、シャトル。
カシャンカシャンと織り機の中を左右に飛ぶ、シャトルです。



ションヘル織機の速度はとても遅い。
だから1日10mしか織れません。

高密度の織物になると、1日8m。


平均的な日本人男性のスーツに必要な生地の用尺は、
2.8m〜3.5m。
裁断士の生地の取り方、仕立て方によっても変わりますが、
おおよそ3mと考えてください。

あなたの3着分を織りあげるためには、
ションヘル織機が1日フル稼働でやっとなのです。


生地は、1反が50mです。
ですから、それを織りきるのには4日はかかることになります。


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チェック柄はこうして(?)織ります。
見事なウインドゥペーン柄が織られておりました。



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見えますでしょうか?
うっすらと青い糸。

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ウインドゥペーンが織られています。


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織機の上、天井付近に、なにやら謎のパターン発見!
なんでしょう?


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実はこれ、生地のミミを作っているのです。
ズボンの裾に、ブランド名が入ってついているのを目にされた方もいらっしゃいますよね。








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最後は検反。

こうして織り上がった反物は、不具合がないかどうかを、
やはり人間の目によって調べます。





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産業革命で変革を遂げたこと、それには3つあります。
とは織り元の代表K氏。

1つは蒸気機関という画期的な発明
1つはプロペラ飛行機
1つは織物です。


 

織物は産業革命の前までは、手旗といって手作業でした。


これら3つともに日本は最先端を走ったといいます。
例えば蒸気機関ならD51、
プロペラはゼロセン、
そして織物。


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今回訪問させていただいた織り元は、大量生産、効率化、高速化、そんな現代では当たり前のスピードの時代に真っ向から対抗する、
低速の織機を使った、日本ではかなり貴重な織り元であります。

日本では、と書きましたが、
実は世界でもかなりレアなのではないかと感じてなりません。
特にイタリアの生地は、大手ブランドであっても高速の最先端織機。

英国では、日本のように毎年安定して同じような織物が上がってきません。
(織り機が変わってきているのでしょう、と織り元代表)




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守っていかなければならないメイドインジャパンに、
また一つ触れた。
自信を持って勝負していこう、そう思いました。 



最後に、壊れたシャトルを特別にいただいてきました。
サロンにミシンとともに展示しています。
このような訪問に、快く受け入れてくださった織り元の皆様に心から感謝いたします。
 

 

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