紳士服パターン講習会

オーダースーツ 東京ボットーネの松はじめです。
ここのところ、芸能人の衣装に携わることも多くなって参りました。
本日は有名人のCM服が完成します。携わった洋服を、テレビ越しに見るというのは大変うれしいものです。

さて、先日はスーツの要、パターンと仮縫いについての講習に参加しました。
テーラー業界というのはどちらかといえば閉鎖的な業界で、このような講習は多くありません。どちらかといえば、師匠についていき、技を盗むといった業界ではあります…

紳士服パターン講習会

この日は実際に採寸したデータを元に作成された型紙を元に、まずはシーチングで仮縫いを行われました。

着せつけで実際に補正が必要な箇所を見つけ、補正を加え、今度は実際の布で仮縫いが行われたのですが、なんとそれら修正はすべて会場の脇に待機している職人の方々の手で、その場で行われたのでした。

 

その場で裁断、そして仮縫い…

紳士服パターン講習会

紳士服パターン講習会


限られた時間にも関わらず、狂いのない鮮やかな手さばき。
前総理のスーツを縫われていた方もいらっしゃいました。
(私と森谷と、お昼をご一緒させて頂きました)

 

夕方、仕上がった仮縫い。

紳士服パターン講習会

怒り肩を強め、そして袖をやや前に振ったことでパーフェクトなスーツとなった瞬間です。
私たちボットーネとしましても、着心地の精度を高めるために、時間も費用もかかりますが仮縫いをお勧めしております。

お客様も実際に目で見て確認できるという点もあり、この時点では大きなデザインの変更も可能です。

そんな仮縫いですが、私の師匠は「仮縫いで大きな修正が入るようでは洋服店失格」と厳しいご意見。ですから、採寸に命をかけるわけです。


採寸という行為自体が難しいわけではありません。
ですが、採寸者次第で完成してくる物が変わります。
極端なことを言えば、パターンオーダーやイージーオーダーとなれば、YA体ですとか、A体、AB体といった様々な絞りのパターンが既に用意されており、42,44,46,,など各サイズの中からまずはある程度合いそうなものを選び、袖丈、股下を記入したくらいでもオーダースーツは完成してきてしまいます。

ですから新人に採寸の仕方を教えただけでも、オーダースーツ販売はできてしまうのです。
ところが、そうして作ったオーダースーツとプロが作るオーダースーツとでは、同じ型紙を使ったとしても別物ができてきます。


そこがフィッターの力量と常日頃感じています。
どれだけその方の体型を引き立てることができるのか?
そしてゆとりの取り方や全体のバランス、それは職業や、その方が着用するシーンによって変わるべきで、それらをどこまでくみ取れるか?ということも力量といえます。

そしてそこに感性というエッセンスを加えるとなれば、理論だけでなく感覚が問われます。このあたりはお客様とフィッターと感覚が合うか?というのがポイントになると思います。

オーダースーツもオーダータキシードも形が無いものですから、コミュニケーションが大切なのです。

 

 

さて、講習の方はこのように朝から夕方まで盛りだくさんの内容の一日でした。


しかし…
会場ではかなり目立っていた私と森谷とそして新人アシスタント。
なんと若手は私たちを除けば、一部だけ。
その数名の若手もほとんどが文化服装学園の学生さんでしたから、スーツスタイルの我々が妙に浮いていたわけです。

信じられない!(こんな若造がこの業界に?)というような顔で話しかけて来て下さった先輩方、それでも色々と教えて下さって本当に感謝でございます。


さて、私たち若手がそもそも珍しいというのは、紳士服業界、なかでもテーラーともなれば後継者不足が深刻な問題なのです。
この日も50代の職人さんがほとんどでした。
このままでは近い将来、本当に数年後には国内の腕ききの職人はいなくなります。

 

何とかこの業界を盛り上げていかなければ、と強く感じた一日。

その為に私たちができることは、まずは目のお客様のために精一杯できることをする、ということからだと、コンシェルジュ一同考えが一致しました。

今日もまたがんばります。

 

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