オーダースーツ 東京ボットーネの松はじめです。
意外かもしれませんが、オーダースーツを扱うお店が全て今年物の生地を用意しているわけではありません。
さて、その話しの前に少し仕入れのお話しです。
生地は同じ生地を大量に仕入れておくこともできます。
大量仕入れをすれば価格が下がるのでは?と思われますが、
しかし私たちにはこだわりがあり、それをしません。
そこには強い想いがございます…
私たちが在庫を持ったら、どうなるか想定してみました。
あくまで仮説です。
A
在庫を持つ→そのシーズンで余る→翌シーズンも売る→新しく発表された生地をお勧めしなくなる…
折角着るのだから今年発表された生地で仕立て、着て頂きたい、と考えました。
B
在庫を持つ→余らないように意識する→在庫生地を中心に提案する→本当に似合う生地を提案しなくなる…
よりお客様好みを選んで頂くか?もしくはよりお似合いになる一着を着て頂きたいという考えが崩れてしまいます。
C
在庫を持つ→保管スペースが必要になる→オフィスサロン拡大→家賃が増える→スーツ価格を上げる…
生地は生きているから、保管状態は重要です。虫喰いもあります。
全ての在庫を抱えているテーラーが上記の仮説のような道を辿っているとはいいませんが、在庫という考え方は大量生産、大量消費の時代のスタイルだと私は考えます。
これからの時代は、モノではなく価値の時代。
モノから情報、情報から感性へと移り変わっている。
大手ではできない柔軟性がないと、企業は乗り切っていけない時代、と考えます。
そして、原点に私たちは、お客様には折角着るのだから今年発表された生地で仕立て、着て頂きたいという想いがあります。
やはり私たちなら在庫を持つことでその在庫生地を強く提案する方針となってしまい、本当にお勧めしたい生地を話せませんし、そうしたくないのです。
だからスタンスはあくまで、よりお客様好みを選んで頂くか?もしくはよりお似合いになる一着を着て頂きたい、ということです。
おかげで、生地サンプルの種類が膨大になってしまい、お客様からは「これだけあると選ぶの大変!」とも言われる日々ですが、そもそも自分がたくさんの中から選ぶのが楽しいのでこうなってしまったという経緯があります。
悩む時からオーダーメイドが始まっているのです。
ちょっと想いが強い記事になってしまい、在庫を持っているお店とかサービスの批判のようにもなってしまいましたが(すみません!)
しかしあくまでもお客様が、当店でなくてもオーダースーツを作ろう!と思った時に、少しでも参考になればと思い、書き綴りました。
気持ちよくスーツをお選び頂けるよう、柔軟な対応ができるよう日頃から心がけているつもりですが、まだまだサービスがなっていない当店だなと思い、自分自身も不甲斐ない想いです、がんばりたいと思います。
ボットーネでは創業以来、ただスーツを仕立てるだけでなく、立場や時間、与えたい印象、好み、お持ちのアイテム、似合う色と柄、今と未来のスタイルをトータルで考えた、あなたに最適な戦略的スーツのお仕立てと着こなしをご提案いたしますので、まずはメールで日程をご予約ください。